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兎絲子 としし

兎絲子とは?

 この記事のポイント

兎絲子には、補腎陽、補腎陰で、かつ固精縮尿という効果があります。補陽薬としてとても重要な生薬になります。

兎絲子の出典

『神農本草経』

兎絲子の分類

  • 補虚薬
    • 補気薬
    • 補陽薬 ← 兎絲子
    • 補血薬
    • 補陰薬

兎絲子の性味・帰経

性味: 辛・甘 / 平
帰経: 肝経・腎経

兎絲子の効能・主治

  • 補陽益陰
  • 固精縮尿
  • 明目止瀉

兎絲子の応用

1.腰膝痠痛・陽萎・滑精・小便頻数・白帯過多

兎絲子は補腎陽、補腎陰で、かつ固精縮尿という効果がある。
『百一選方』には、兎絲子、杜仲などを等分した山薬湖丸というのがあり、これを飲むと腰膝痠痛を治すことで知られる。
五子衍宗丸は、兎絲子に枸杞子、覆盆子、五味子などを配合して陽萎遺精を治す。
菟絲子丸は、兎絲子と鹿茸、桑螵蛸、五味子などを配伍して小便不禁を治す。
茯菟丸は、白朮、石蓮子を配伍して遺精や白濁、あるいは尿有余歴を治す。

2.目暗不明に用いる

兎絲子は補肝明目の効果がある。
例えば駐景丸は、兎絲子、熟地黄、車前子から組成されており、肝腎不足、明暗不明を治す。

3.脾虚便溏あるいは泄瀉

兎絲子には補脾止瀉の効用がある。
『方脉世宗』にある方で、兎絲子に黄耆、党参、白朮などを配伍したものがあり、これは、脾気不足、飲食減少、大便不実を治す。

4.その他(肝腎不足・胎元不固・陰虧消渇などの証)

寿胎丸のように、兎絲子と続断、桑寄生、阿膠などを配伍して胎漏下血、胎動欲堕を治療する。
『全生指迷方』では、単用で本品の研末を蜜丸、あるいは散剤にしたものを服して消渇を治すという記載がある。

兎絲子の用量用法

10~15g
本品は平補の薬であるが、特に補陽に良い。故に、陰虚火旺で大便燥結、小便短赤があるものは服用しないようにする。

参考資料

この記事を書いた人

源保堂鍼灸院・漢方薬店薬戸金堂 瀬戸郁保

瀬戸郁保
IKUYASU SETO

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

古医書に基づく鍼灸を追究しさらに漢方薬にも研究を拡げています。東洋医学の世界を多くの方に知っていただき世界の健康に貢献したいと思います。
東京の表参道で、東洋医学・中医学に基づいた源保堂鍼灸院・漢方薬店 薬戸金堂を営んでおります。

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