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車前子 しゃぜんし

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車前子とは?

 この記事のポイント

車前子は利水滲湿薬に分類される。そのため、利水通淋、止瀉、暑湿泄瀉などに用いられるが、そのほかに目赤、内障、視物昏暗痰多にも用いられる。

車前子の出典

『神農本草経』

車前子の性味・帰経

  • 性味

  • 帰経
    腎経
    肝経
    肺経

車前子の分類

  • 利水滲湿薬 ← 車前子

車前子の効用

  • 利水通淋
  • 止瀉
  • 清肝明目
  • 清肺化痰

車前子の効能・作用

1.小便不利、水腫、淋病

 車前子の性味は甘寒で、滑利、利水の作用があり、あわせてよく清熱できる。そのため、水腫や淋病の治療に常用される。
 もし湿熱が下注して膀胱に熱結して小便淋漓渋痛になったものには、木通、山梔子、滑石などの清利湿熱の生薬と一緒に用いる(八正散)。

2.暑湿泄瀉

 車前子は水湿を利し、清濁を分けて止瀉する。また、小便を利することで大便への水分を回避することができるので、大便を実することができる。そのため、湿盛によって引き起こされた水瀉をよく治療することができる。単用で用いるときは研末して米飲送服する。あるいは白朮、茯苓、沢瀉などと一緒に用いることもできる。

3.目赤、内障、視物昏暗

 車前子は清肝明目の効果がある。もし肝熱による目赤腫痛があった場合は、菊花、龍胆草、黄芩などの清肝薬と一緒に配伍するとよい。もし慢性的な長患いの内障(眼球内部の疾病の総称でそこひの類)で肝腎陰虚がある場合は生地黄、麦門冬、枸杞子などの養陰薬と一緒に用いるとよい。

4.肺熱咳嗽痰多

 車前子には清肺化痰の作用があり、この作用を活かす場合は清肺化痰止咳薬と一緒に用いられる。

車前子の用量用法

5~10g

車前子の使用上の注意

 布に包んで入れる。

車前子の附薬

車前草

車前の全草である。
性味・効能は車前子に相似し、よく清熱解毒する。熱毒瘍腫の治療に用いる。
内服、もしくは鮮草を用いて外敷する。
用量10~15g
鮮品加倍、外用適量

参考資料

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この記事を書いた人

源保堂鍼灸院・漢方薬店薬戸金堂 瀬戸郁保

瀬戸郁保
IKUYASU SETO

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

古医書に基づく鍼灸を追究しさらに漢方薬にも研究を拡げています。東洋医学の世界を多くの方に知っていただき世界の健康に貢献したいと思います。
東京の表参道で、東洋医学・中医学に基づいた源保堂鍼灸院・漢方薬店 薬戸金堂を営んでおります。

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