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丹参 たんじん

丹参とは?

 この記事のポイント

丹参は活血化瘀薬の代表生薬です。

丹参の別名

紫丹参

丹参の性味・帰経

  • 性味
    苦・微寒
  • 帰経
    心経、心包経、肝経

丹参の効能

  • 活血祛瘀
  • 涼血消癰
  • 養血安神

丹参の効能・作用

1.月経不調・血滞経閉・産後瘀滞腹痛・心腹疼痛・癥瘕積聚および肢体疼痛などの証

 丹参は血脉をよく通行させるので、活血祛瘀に効果があり、婦女の経脉の不均衡を調えるのによい。また、丹参の性質は寒涼に偏っているので、血熱瘀滞に対しても相性が良い。もし瘀滞にして寒象も兼ねているような場合は、温裏祛寒の品を一緒に用いてもよい。

 婦人科の病証に用いる場合は、活血通経薬である紅花、桃仁、益母草などがよく配伍される。
 血瘀気滞が原因でおきる心腹や胃脘の疼痛に用いる場合は、行気の中薬である檀香、砂仁などを配合することもできる(例:丹参飲)。
 癥瘕積聚には三稜、莪朮、沢蘭、鼈甲などを配伍する。
 肢体疼痛に対しては的確に弁証論治をして必要な傷中薬を適宜配伍するようにする。例えば跌打損傷、瘀滞作痛の場合は、当帰、紅花、川芎などの活血祛瘀止痛といった中薬と一緒に用いる。熱痺、関節紅腫疼痛があるときは、祛風通絡の性質を持つ中薬である忍冬藤、赤芍、秦艽、桑枝などと共に用いる。

2.瘡瘍腫痛

 丹参はよく涼血し、またよく散瘀もできる。よって、清熱解毒薬と配伍することで消除癰腫の効果を助けることができる。例えば乳癰腫痛を治療する消乳湯があるが、これは、丹参の他に乳香などの活血薬と金銀花、連翹などの清熱薬を配伍している好例である。

3.温熱病で熱入営血したもの

 温熱病で熱入営血したもので、高熱が見られ、時に譫語、煩躁不寐、あるいは斑疹隠隠、舌紅絳などがあり、心悸征忡、失眠などに及んだものに丹参が用いられることもある。上述したように、丹参は活血涼血に長じており、また、その作用により養血安神をすることもできる。活血涼血としては、生地黄、玄参、竹葉心などの中薬と丹参を一緒に用いて、涼営血にして安神の効果を出すことができる(例:清営湯)。養血安神作用としては、夜交藤と配伍して養血安神の効果を増強することができる。

4.その他

近年に入って丹参の使用範囲は拡がっており、多種の瘀血や血行不良による病証に用いられる。例えば肝脾腫大、冠状動脈性心疾患(冠心病)などに一定の効果が出ているとされる。

丹参の用量用法

5~15g
酒炒で活血の効能が増強される。

使用注意

反藜芦

参考資料

 日本ではあまり知られていない丹参ですが、近年、丹参の効能が見直されています。丹参についての詳しい解説はこちらが参考になります。

 丹参が配合された漢方薬としては、日本ではイスクラ産業の冠元顆粒がとみに有名です。冠元顆粒は冠心II号方と呼ばれる中国での処方をアレンジしたもので、現在もなお研究が進んでおり、様々なエビデンスが確認されています。

この記事を書いた人

源保堂鍼灸院・漢方薬店薬戸金堂 瀬戸郁保

瀬戸郁保
IKUYASU SETO

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

古医書に基づく鍼灸を追究しさらに漢方薬にも研究を拡げています。東洋医学の世界を多くの方に知っていただき世界の健康に貢献したいと思います。
東京の表参道で、東洋医学・中医学に基づいた源保堂鍼灸院・漢方薬店 薬戸金堂を営んでおります。

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