甘麦大棗湯 かんばくたいそうとう
甘麦大棗湯とは?
この記事のポイント
川芎茶調散は頭痛につかわれる漢方薬である。主に外感風邪による頭痛に効果を発揮する治風剤である。
甘麦大棗湯の出典
『金匱要略』
甘麦大棗湯の分類
- 安神剤 ← 甘麦大棗湯
甘麦大棗湯の組成
- 甘草 9g
- 小麦 9~15g
- 大棗 5~7枚
甘麦大棗湯の効能
- 養心安神
- 和中緩急
- 補脾気
甘麦大棗湯の主治
- 臓躁
精神恍惚として常に悲傷欲哭して自分を支えることができない。睡眠も不安定で甚だしければ言行失常、呵欠(あくび)頻数、舌紅苔少
甘麦大棗湯の方解
臓躁の多くは心虚や肝鬱によるものである。それによって現れるものは神志失常した各種の症状で、精神恍惚、睡眠不安などで、およそこれらはみな心が養うところを失って、神が守舎できずに成ったもの。
甘麦大棗湯の方解
- 甘草
甘緩和中、養心でもって急迫を緩める。 - 小麦
微寒で養心寧神する。臣薬となる。 - 大棗
補益脾気で肝急を緩めることと、甘緩滋補、柔肝緩急、寧神安神の効果を有する。
甘麦大棗湯の組成は、『素問・蔵気法時論』にある「肝苦急、急食甘以緩之」の治療法則に則ったものである。
甘麦大棗湯は、癔病(ヒステリー)や神経衰弱の治療として現代でも常用される。これは、東洋医学・中医学でいうところの心虚と肝鬱をもって弁証の根拠とするところである。
参考資料
この記事を書いた人

瀬戸郁保
IKUYASU SETO
鍼灸師・国際中医師
古医書に基づく鍼灸を追究しさらに漢方薬にも研究を拡げています。東洋医学の世界を多くの方に知っていただき世界の健康に貢献したいと思います。
東京の表参道で、東洋医学・中医学に基づいた源保堂鍼灸院・漢方薬店 薬戸金堂を営んでおります。
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