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桂枝茯苓丸

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桂枝茯苓丸とは?

この記事のポイント

桂枝茯苓丸は、夫人の胞宮中に瘀血があるものを治す方剤である。その作用によって、妊娠時の胎動不安、腹痛漏下の証に対応することができる。

桂枝茯苓丸の出典

『金匱要略』

桂枝茯苓丸の分類

  • 理血剤
  • 活血袪瘀 ← 桂枝茯苓丸
  • 止血

桂枝茯苓丸の組成

組成性味帰経
桂枝9g辛・甘心・肺・膀胱
茯苓9g甘・淡心・脾・腎
牡丹皮9g苦・辛微寒心・肝・腎
桃仁9g心・肝・肺・大腸
芍薬9g微寒
※用量は特に注意がない場合は『中薬学』上海科学技術出版社を参考にしています。

桂枝茯苓丸の効能

  • 活血化瘀
  • 緩消癥塊

桂枝茯苓丸の主治

 瘀血留結胞宮、妊娠胎動不安、漏下不止、血色紫黒、晦暗、腹痛拒按など

桂枝茯苓丸の方解

 桂枝茯苓丸は、婦人の胞宮中に瘀血があるものを治す方剤である。
 その作用によって、妊娠時の胎動不安、腹痛漏下の証に対応することができる。瘀血癥塊が消えずに漏下が終わっても止まることができないでいると、その勢いは必ず胎元にも影響が出る。
 ただし、消散があまりにも強く作用しすぎると、簡単に損胎することになる。そこで桂枝茯苓丸は、緩消癥塊(ゆっくり少しずつ癥塊を消していく)するような組み合わせになっている。つまり桂枝茯苓丸には、「有故無殞、亦無殞也」という主旨が含まれている。

桂枝

 温通血脈。桂枝と茯苓で合わせて君薬となる。

茯苓

 滲利下行して心脾の気を益す。また、瘀血を巡らすのを助け、胎元を安定させることもできる。桂枝・茯苓で合わせて君薬となる

牡丹皮・桃仁・芍薬(赤芍)

 癥塊が長くあると、鬱して久しく多くは化熱する。故に牡丹皮と赤芍を配し、さらに桃仁を合して瘀血へ対処する。併せて瘀血による瘀熱を清ずることができるため、この牡丹皮と赤芍を臣薬・佐薬とする。
 丸剤にするために白蜜を使うが、これは袪瘀薬の作用を緩和する意味もあり、また、緩消作用も期待されるので使薬となる。
 これらの諸薬が合用されて、活血化瘀、緩消癥塊の効果を奏功する。

桂枝茯苓丸についてその他の見解

 原書では、桂枝茯苓丸はウサギの糞の大きさのものを毎日一丸服用とあるが、三丸にまで加えても良いとある。

 婦人が妊娠して瘀血があったものは、漸消緩散することができるが、峻攻猛破はすべきではないことを注意しておかなければならない。

 『婦人良方』では、桂枝茯苓丸のことを「奪命丸」と称している。というのは、ここでは、婦人小産、子死腹中に用いられるとあるからである。「胎上搶心、悶絶致死、冷汗自出、気促喘満者」とある。

 『済陰綱目』では、桂枝茯苓丸は湯剤になっており、名称は「催生湯」である。用途は産婦臨産になっている。これは、腹痛、腰痛にして胞漿がすでに下ったときに服用することで催生(陣痛促進)の効果があるという意味である。ただし本剤は、本来は消癥袪瘀の方剤であるから、体質が壮実の人に用いるのがよいものである。

参考資料

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この記事を書いた人

源保堂鍼灸院・漢方薬店薬戸金堂 瀬戸郁保

瀬戸郁保
IKUYASU SETO

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

古医書に基づく鍼灸を追究しさらに漢方薬にも研究を拡げています。東洋医学の世界を多くの方に知っていただき世界の健康に貢献したいと思います。
東京の表参道で、東洋医学・中医学に基づいた源保堂鍼灸院・漢方薬店 薬戸金堂を営んでおります。

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