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生脈散

生脈散とは?

 この記事のポイント

生脈散は、麦門冬、五味子、人参というシンプルな構成の方剤であるが、気陰両虚にとても効果がある。心肺機能を強くするので、夏バテなどにも効果的である。

生脈散の出典

『内外傷辨惑論』

生脈散の分類

  • 補益剤
    • 補気 ← 生脈散
    • 補血 
    • 気血双補
    • 補陰
    • 補陽

生脈散の組成

生脈散の効能

  • 益気生津
  • 斂陰止汗

生脈散の主治

  • 暑熱汗多・耗気傷液
    体倦気短、咽乾口渇、脉虚細
  • 久咳肺虚・気陰両傷
    嗆咳少痰、気短自汗、口乾舌燥、苔薄少津、脉は虚数あるいは虚細

生脈散の方解

1.生脈散は気陰両虚

汗は心の液である。
そこで、汗が過剰に出た場合は心陰を損なうことになる。
心陰虧損すると、口乾舌燥、心煩して渇、脉は虚弱となる。
気は肺が主るものである。
自汗過多は必ず気を消耗することになるので、肺もまた損なうことになる。
肺気虚になると、体倦、気短になる。
よって、気陰両虚となる。

2.生脈散の方解

  • 人参
    甘・平、補肺、大扶元気で君薬
  • 麦門冬
    甘・寒、養陰生津、清虚熱にして除煩で臣薬
  • 五味子
    酸、収斂肺止汗
    「肺欲収、急食酸以収之」の意義から。

これらの生薬をみていくと、補肺、養心、滋陰に力を持っていることがわかる。よって、益気、生津の効用が出ることが分る。
そのため、夏の汗出過多などで損気傷津した証に効果が出る。

生脈散は、嗆咳無痰、短気自汗、口燥咽乾などの証に用いられるが、久咳肺虚に着目して、益気、生津、斂肺の法に従うものである。求本図治を以て気陰両方を回復させて、肺潤津生を促す。

3.その他

現代用法だと、心悸、胸悶、気短、汗出、口乾思飲、舌質淡紅、少津、結脈あるいは代脈がある証にも利用される。

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参考資料

この記事を書いた人

源保堂鍼灸院・漢方薬店薬戸金堂 瀬戸郁保

瀬戸郁保
IKUYASU SETO

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

古医書に基づく鍼灸を追究しさらに漢方薬にも研究を拡げています。東洋医学の世界を多くの方に知っていただき世界の健康に貢献したいと思います。
東京の表参道で、東洋医学・中医学に基づいた源保堂鍼灸院・漢方薬店 薬戸金堂を営んでおります。

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