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竜胆瀉肝湯

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竜胆瀉肝湯とは?

この記事のポイント

竜胆瀉肝湯に苦・寒の性質を持つ生薬が多く使われており、肝胆実火が上擾となった症状(頭痛、目赤、脇痛口苦、耳聾、耳腫)に適応する。また、湿熱下注した症状(陰腫、陰痒、筋痿陰肝、小便淋濁、婦女湿熱帯下など)にも使われる。

竜胆瀉肝湯の出典

『医方集解』
 竜胆瀉肝湯の出典は確定されていない。
 李東垣の『蘭室秘蔵』のなかに”竜胆瀉肝湯”の名前が記載されているが、これは名同薬異(名前は同じだが、方財は異なる)であり、組成が異なっている。
 その他の説に、『太平惠民和剤局方』に記載があるとされるが、そこにも見当たらない。
 さらに他の説では、『医宗金鍳』ではないかとされており、そこには二つの方剤が掲載されている。そのうちの一つは『外科心法要訣』にあって、『外科世宗』からの引用。もう一つは『刪補名医方論』にあり、これは『医方集解』からの引用である。
 また、『校註婦人良方』のなかにも竜胆瀉肝湯が見受けられるが、これは竜胆瀉肝湯の組成から柴胡を除いていた組成になっている。日本で販売されているエキス剤の多くはこの『校註婦人良方』のものを採用している。

竜胆瀉肝湯の分類

  • 清熱剤
  • 清気分熱 
  • 清営涼血
  • 清熱解毒
  • 気血両清
  • 清臓腑熱 ← 竜胆瀉肝湯

竜胆瀉肝湯の組成

組成性味帰経
竜胆草6g肝・胆・胃
黄芩9g肺・胆・胃・大腸
山梔子9g心・肺・胃・三焦
沢瀉12g甘・淡腎・膀胱
木通9g心・小腸・膀胱
車前子9g腎・肝・肺
当帰3g甘・辛肝・心・脾
生地黄9g甘・苦心・肝・腎
柴胡6g苦・辛微寒心包絡・肝・三焦・胆
生甘草6g心・肺・脾・胃
※用量は特に注意がない場合は『中薬学』上海科学技術出版社を参考にしています。

竜胆瀉肝湯の効能

  • 瀉肝胆実炎
  • 清下焦湿熱

竜胆瀉肝湯の主治

  • 肝胆実火上擾となった症状に対して
  • 頭痛、目赤、脇痛口苦、耳聾、耳腫
  • 湿熱下注した症状に対して
  • 陰腫、陰痒、筋痿陰肝、小便淋濁、婦女湿熱帯下など

竜胆瀉肝湯の方解

 竜胆瀉肝湯が治療する症は、肝胆実火や、肝経に生じた湿熱が経を巡って上擾・下注したものになります。
 上擾すれば頭巓、耳目作痛、あるいは聴力が弱くなるなど、頭など上部の症状が出やすくなります。また胆経におよぶと両脇に痛みが出たり、嘔苦します。
 下注すれば足の厥陰経脈を巡っていき、経脈がまとっている陰器に腫痛や陰痒が生じる。また、湿熱下注が膀胱におよべば、淋痛といった症状になる。

竜胆草

 大苦大寒で、上においては肝胆実火を瀉し、下においては下焦湿熱を清する。竜胆瀉肝湯においては、瀉火・除湿の両方において功を奏するため、君薬になる。

黄芩・山梔子

 黄芩・山梔子ともに苦寒瀉火の効果を持っており、竜胆瀉肝湯においては、竜胆草に配される臣薬となる。

澤瀉・木通・車前子

 清熱利湿として、湿熱を水の道より排除する。

生地黄

 肝は血を蔵するので、肝経に熱があるとそこの陰血に影響が出やすく、消耗しやすい。そのため苦・寒、燥湿の生薬を用いると陰の消耗を助長してしまうので、生地黄を用いる。

当帰

 当帰は滋陰養血にはたらいて標本兼願となる。

柴胡

 諸薬を肝胆に入れるための引経薬として柴胡を使う。

甘草

 甘草は諸薬の効果効能を調和するため。

 以上の諸薬を外観してみると、竜胆瀉肝湯は「瀉中有補」「利中有滋」するようになっており、火降熱清、湿濁分清して諸証を発生している経を巡らせていくという方剤の意図がある。

竜胆瀉肝湯についてその他の見解

 竜胆瀉肝湯に使われている生薬の多くは苦寒の性質であるため、服用すると脾胃を傷めやすいということでもある。それ故に、脾胃虚寒に対しては多服したり、久服したりしないように注意する。

参考資料

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この記事を書いた人

源保堂鍼灸院・漢方薬店薬戸金堂 瀬戸郁保

瀬戸郁保
IKUYASU SETO

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

古医書に基づく鍼灸を追究しさらに漢方薬にも研究を拡げています。東洋医学の世界を多くの方に知っていただき世界の健康に貢献したいと思います。
東京の表参道で、東洋医学・中医学に基づいた源保堂鍼灸院・漢方薬店 薬戸金堂を営んでおります。

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