五味消毒飲 ごみしょうどくいん
五味消毒飲とは?
この記事のポイント
五味消毒飲は癰瘍剤の代表である。火毒結聚した癰瘡癤腫に使われ、加減して応用されることがある。
五味消毒飲の出典
『医宗金鑑』
芍薬湯の分類
- 癰瘍剤 ← 五味消毒飲
五味消毒飲の組成
- 金銀花 20g
- 野菊花 15g
- 蒲公英 15g
- 紫花地丁 15g
- 紫背天葵子 15g
- お酒を加えて飲む
※用量は、中国の教材である『方剤学』(上海科学技術出版社)を採用しています。日本用とは用量や組成が異なることもあるので、ご注意ください。
五味消毒飲の効能
- 清熱解毒
- 消散疔瘡
五味消毒飲の主治
- 火毒結聚の癰瘡癤腫
初期の局部紅腫熱痛あるいは発熱悪寒するもの。
各種疔毒、瘡形如粟、堅硬で根深く、その状態は鉄釘のようである。舌紅、苔黄、脈数。
五味消毒飲の方解
癰瘡疔毒は、その原因の多くは臓腑の蘊熱や火毒が結聚したものである。それ故にその治療は清熱解毒を用いることが主となり、それによって積熱火毒を清解消散することができる。
五味消毒飲 の方解
- 金銀花
金銀花は気血の熱毒を清することができるため、五味消毒飲の君薬となる。 - 紫花地丁・紫背天葵子・蒲公英・野菊花
これらは均しく清熱解毒の効用をもっており、金銀花などと配伍することによって清解の力を強化することができる。 - 加酒して飲む
服用するときに少量の酒を加えるのは、血脈の巡りを良くして薬効を助けることにある。
行気導滞。通因通用を目的としたものである。
各種の疔毒の初期に合わせて、常に五味消毒飲を基本にして加減使用する。
五味消毒飲のほかに、同じような作用の方剤として仙方活命飲がある。両者ともに清熱解毒の効用があるが、仙方活命飲は消散活血をメインにした上で清熱解毒の効用を兼ねているのに比して、五味消毒飲は清熱解毒の作用を主にしていながら、消散疔毒にも重きを置いているという違いがある。
五味消毒飲の附方
銀花解毒湯
出典
『瘍科心得集』
組成
金銀花、紫花地丁、犀角、赤茯苓、連翹、牡丹皮、川連、夏枯草
効用
清熱解毒、瀉火涼血
主治
湿熱風火、癰疽疔毒
銀花解毒湯は、癰疽疔瘡の毒が盛んで、腫が甚だしいときの症状に用いる。そのため本剤は清熱解毒、瀉火涼血に重きを置いた組成になっている。癰疽疔毒の初期や表証が見られるときは加減して運用する。
銀花解毒湯と五味消毒飲の区別
銀花解毒湯は清熱解毒と瀉火涼血を併せたもの。五味消毒飲は清熱解毒に重点を置いたもの。
参考資料
この記事を書いた人
瀬戸郁保
IKUYASU SETO
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
古医書に基づく鍼灸を追究しさらに漢方薬にも研究を拡げています。東洋医学の世界を多くの方に知っていただき世界の健康に貢献したいと思います。
東京の表参道で、東洋医学・中医学に基づいた源保堂鍼灸院・漢方薬店 薬戸金堂を営んでおります。
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