五苓散 ごれいさん
五苓散 ごれいさん
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出典
『傷寒論』
分類
- 祛湿剤
- 利湿滲湿 ← 五苓散
組成
※用量は、中国の教材である『方剤学』(上海科学技術出版社)を採用しています。日本用とは用量や組成が異なることもあるので、注意してください。
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効用
- 利水滲湿
- 温陽化気(この場合は膀胱の気化作用)
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主治
- 表証、内停水湿
頭痛発熱、煩渇欲飲あるいは水入即吐、小便不利、舌苔白、脈浮 - 水湿内停
水腫、泄瀉、小便不利、および霍乱吐瀉などの証
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組成・方解
水飲停蓄・蓄水証
『傷寒論』のなかでは、五苓散が適用となるものは、太陽表邪が解けていないもので、太陽の腑に内伝し、膀胱の気化機能が利さず、太陽経腑同病の蓄水証を成したものとある。
表邪が未だに尽きていないので、頭痛、発熱、脈浮となる。
邪が膀胱に入ると気化がうまくいかないので、小便不利となり蓄水する。
水が下焦に貯まると気が津を化すことが出来なくなるので、水精が輸布されなくなる。
故に煩渇欲飲となる。そして、水が輸布されないのだから、水を飲んでもすぐに吐くことになるので、「水逆証」となる。
これらを総じて観ると、五苓散の証は、水飲停蓄が病となるわけだから、滲利蓄水と外邪を解くことが急務となる。
方解
- 五苓散のなかで澤瀉を君薬として重用するのは、その甘淡、寒の性質を利用して膀胱に直達して利水滲湿するためである。
- 白朮は健脾気して水湿を運化する。
- 猪苓・茯苓の淡滲は、利水蠲飲の効用を増強するためである。
- 桂枝は佐薬になるが、体の外に対しては太陽の表を解く作用、そして体の内側に対しては膀胱の気化を助ける作用と、桂枝は内外両面に対して作用させている。
これら5つの生薬が合方して、水行気化、表解脾健されて、蓄水留飲による諸症状が自ずから除かれる。
小便不利
五苓散は滲湿利水に重点がおかれ、健脾化気の効果も兼ねる。故に、水湿内停の水腫に用いられ、小便不利によい。
また、水湿下注による泄瀉の場合は、小便を分離することで湿が去って水湿下注にならなくなるので、瀉は治まる。
痰飲による臍下動悸は、五苓散の水滲利水作用を用いれば、痰飲が去って動悸は止まる。
霍乱は湿濁の病であるが、表邪を兼ねているものに対しては五苓散を用いる。
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附方
(1)四苓散
出典
『明医指掌』
組成
効用
滲湿利水
主治
内傷飲食有湿、小便赤少、大便溏泄
(2)茵陳五苓湯
出典
『金匱要略』
組成
茵陳蒿末(10g)、五苓散(5g)
効用
利湿退黄
主治
湿熱黄疸、湿重於熱、小便不利
(3)胃苓湯
出典
『丹渓心法』
組成
五苓散(3g)、平胃散(3g)
上の物をあわせて生姜、大棗と一緒に煎じる
効用
祛湿和胃
主治
夏秋の間、脾胃を冷たいもので傷めたものに対して効果がある。
水穀不分、泄瀉不止によって水腫、腹脹、小便不利に及んだもの。
五苓散と附方との比較
四苓散は、五苓散から桂枝を去ったもの。効用は滲湿利水であるが、証に従って加味し、各種の水湿内停、小便不利の証に用いられる。
胃苓湯は、平胃散と五苓散を合わせたもの。ともに行気利水、祛湿和胃の作用がある。主要な用途は、水湿内阻、腹脹、水腫、小便不利、あるいは大便泄瀉などの証である。
茵蔯五苓散は、五苓散に倍の量の茵陳蒿を加えたものである。利湿清熱胎黄作用を具え、黄疸病湿多熱少、小便不利に用いられる。
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参考資料
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