実脾散 じっぴさん
実脾散 じっぴさん
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出典
『重訂産氏済生方』
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分類
- 祛湿剤
- 燥湿和胃
- 清熱祛湿
- 利水滲湿
- 温化水湿 ←実脾散
- 祛風勝湿
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組成
- 厚朴(6g)
- 白朮(6g)
- 木瓜(6g)
- 木香(6g)
- 草果仁(6g)
- 大腹子(6g)
- 附子(6g)
- 白茯苓(6g)
- 乾姜(6g)
- 甘草(3g)
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効用
- 温陽健脾
- 行気利水
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主治
陽虚水腫
下半身の腫が甚だしい、手足不温、口中不渇、胸腹脹満、大便溏薄
舌苔厚膩、脈沈遅
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組成・方解
実脾散は温陽健脾・行気利水
実脾散が治す証は、陰水である。
脾腎陽虚によって陽不化水になると、水気内停する。このような原理で生じる水腫に実脾散は効果的である。
水は陰邪で下に向かうため、水腫が下半身に甚だしくなる。
脾臓は四肢を主る。そして脾臓が陽気を温煦できなくなるので、手足不温となる。
水湿不暢となると気機不暢にもなるため、胸腹脹満になる。
口不渇、大便糖、舌苔厚膩、脈沈遅は、みな脾腎陽虚、水湿壅盛の象である。
以上のことから、治療は温陽健脾、行気利水となる。
方解
- 附子・乾姜が君薬
附子:温脾腎、助気化、陰水の停滞を巡らせる。
乾姜:温脾陽、助運化、寒水の沍凝を散じる。
附子と乾姜は二者合用で温陽脾腎、扶陽抑陰する。 - 茯苓・白朮:健脾燥湿、淡滲利水。痰湿を小便として利する。
- 木瓜:芳香醒脾、化湿利水をして脾の運化作用を興す。
- 厚朴・木香・大腹子・草果仁
下気導滞、化湿行水。気を巡らせることで、湿邪が化しやすくなる。 - 甘草・生姜・大棗:調和諸薬、益脾和中。
これらの生薬が相互作用で温暖脾腎、行気利水に効果を発揮する。
“実脾”の意味
実脾散は温補脾土の効果に偏っているが、これは、「脾実則水治(脾実すれば則ち水が治まる)」の原則をしっかりと決定づけるためである。それ故に、“実脾”の名前が付されている。
実脾散と真武湯との違い
実脾散は、真武湯と効果が似ている。
先ず組成を見ると、「実脾散=真武湯ー芍薬+(乾姜、厚朴、木香、草果仁、大腹子、木瓜、甘草、大棗、生姜)」である。
実脾散、真武湯ともに均しく温暖脾腎し、助陽行水する。
真武湯は温腎を重視し、実脾散は暖脾の傾向がある。
真武湯は温陽利水と斂陰緩急を兼ねているので、主治は陽虚停水となる。そのため、腹痛あるいは陰随陽傷の身瞤動に良い。
実脾散は助陽散寒の力を助け、かつ行気化滞もすることができる。故に主治は陽虚水腫、胸腹脹満も兼ねる。
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参考資料
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