舌診について③ 舌診の区分・注意事項・

診断学用語集 (C)東洋医学・鍼灸・漢方辞典dictionary oriental medicine東洋医学診断学用語

舌診の区分・注意事項

舌診の区分

これまで見てきたように、中医学は、古来より舌と臓腑の密接な関係を観察してきました。それらをまとめてみると、舌診の区分は以下の二つに分けることができます。

  1. 胃経による区分
  2. 五臓による区分

この二つを以下見ていく。

1.胃経による区分

胃経の区分では、舌を上・中・下に分ける方法で、舌尖を上脘、舌中を中脘、舌根を下脘と呼ぶ。
この区分は、胃病の診断に用いる。

2.五臓による区分

五臓による区分は、医家によって若干異なるところもあるが、統一的な見解は、舌尖が心肺、舌辺が肝胆、舌中が脾胃、舌左辺が肝、舌右辺が胆、舌根は腎という配当になる。

このように、舌診の区分は、胃の状態を診たり、五臓の状態を診たりと、何を診るかという施術者の視点によって臨機応変に使い分けていく。

舌診をするときの注意事項

1.光の加減

舌診をするときには、舌に当たる光の強弱や光源の色に注意が必要である。
あまりに強い光では舌が反射したりするし、暗すぎると舌の色がはっきりしない。
舌診に最も適しているのは、柔和で自然な色が良いとされる。

2.舌を診るときの姿勢や時間

舌診の姿勢としては、まず患者が自然に舌を出しやすい状況を作ってあげることが大切である。無理な姿勢で舌を出してもらっても、舌が引っ張られて歪斜舌と間違えることもあるし、血流が圧迫されて舌色が正しく現れないこともある。
患者には、十分に伸びる自由な姿勢で舌を出してもらう必要がある。

また、舌を出している時間が長くなると、舌が乾燥したり、舌が緊張したり、舌を出す力が弱まることもあり、正しい舌診ができないので、なるべく短時間で済ますように心がける。

3.舌診の順序

舌診の順序は、いつもばらばらでやると、施術者自身が、何を目的で舌診を行っているのかが分からなくなる。時間をかけずに手短に、かつ正確に舌全体を把握していくことが大切なので、自分なりの流れ、順番を決めておくと良い。

例えば、最初に舌苔の有無からはじまり、そこから舌苔の厚薄、腐、色沢、潤燥などの状況を把握し、その次の段階で、舌色、斑点、胖痩、老嫩、および動態などの状況を診て、あわせて舌根、舌辺といった舌体の区分を診るという順番がわかりやすい。

4.飲食の影響を知っておく

舌苔や舌色は、飲食物、薬などによって色が染まって変色することがある(これを染苔という)。

例えば、牛乳などの乳製品では白くなるし、落花生、豆類など脂肪を多く含む食品では、短時間でも腐膩苔のようになることもあるので注意が必要である。
また、珈琲、ワイン、酒などでは黒くなったり、茶褐色になったりもする。
その他、飴、健康食品など色素が強いものはその色素が着くことも多いので、診る側の注意も必要だが、患者にも施術前にはこういったものを摂らないように伝えておくことも大切になる。

ただし、刺激性の飲食物、冷たいもの、熱いものなどを好む人の舌は、それぞれの飲食物の刺激によって生じている特徴があり、それはそれで差し引きしてみていく必要があるが、どうしてそういったものを好んでしまうかという、そのような習慣になってしまうもともとの病因がそこに隠れていることもあるので、一概に食べものによる舌への影響があることを心に留めておく。

5.季節や時間帯による違いを知っておく

正常な身体は、季節に応じて変化をしていくものである。これは、季節に即した身体の変化なので、順として捉えるものである。
同様に、正常な人の舌は季節とともに変化をしていく。

夏季の暑湿が盛んなときは、舌苔は、多くは厚くなる。あろういは淡黄色になる。
秋季の乾燥した時季は、舌苔は、多くは薄く乾燥する。
当帰の寒い時期は、舌は湿潤になる。

また、季節だけではなく、一日の中でも舌の様子は変化する。
朝起きたばかりの舌は、多くは厚くなっている。
日中、食事をしたりした後は薄くなる。
舌色でいえば、ちょうど起きたばかりのときは暗帯で、活発に動いているときは赤味を帯びている。

これらは病気の舌とは捉えないので、注意しておく。

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