舌診について④ 舌診の内容-舌質(舌神・舌色・舌形・舌態)を診る
舌質(舌神、舌色、舌形、舌態)を診る
舌の形態
ここでは、東洋医学から見た舌の形体について述べておきます。
『形色外診簡摩・舌質舌苔辨』では、舌について以下のように説いています。
「夫舌為心竅、其伸縮展転、則筋之所為、肝之用也。其尖上紅粒、細如於粟者、心気挟命門真火而鼓起者也。其正面白色軟刺如毫毛者、肺気挟命門真火而生出者也。至於苔、乃胃気之所薫蒸、五臓皆稟気於胃、故可借以診五臓之寒熱虚実也。」
紅粒とは茸状乳頭を指し、白色軟刺は糸状乳頭のことをいっている。
舌と臓腑の関係
舌と臓腑の関係は、経絡と経筋の走行部位から理解することができる。
経絡と舌との関係
経筋と舌との関係
中でも重要なのは心と脾胃
五臓六腑と関係の深い舌であるが、中でも最も密接なのが心と脾胃である。
ここでは、舌と心、舌と脾胃の関係を考察し、舌診の原理を理解する。
舌と心の関係について
舌は心の苗竅、脾の外候で、舌苔は胃の気が薫蒸されたものである。
舌質の血絡は豊富で、“心は血脈を主る”ことから、舌が心と関係していることが理解できる。
また、舌の動きは自由自在に動き、音声の調整や発語、会話に重要であるが、“心は神志を主る”ことに深く関わっていることも理解できる。
以上のことから、舌象は心の働き、心の状態を反映しているということが分かる。
心は五臓六腑の大主であり、全身の臓腑気血のはたらきや状態を主宰しているのことから、心に関係する舌象は、これら人体の様々な状況を現わしているといえる。
舌と脾胃の関係について
舌は味覚を判断する五感器である。そしてまた、味覚は食欲に影響する。
味覚も食欲も、脾の運化作用や、胃の受納機能が丈夫であることで発揮されるものである。脾胃は後天の本で、気血の化源となって全身の各部位のはたらき、動きを与えている。
これにより、舌象は脾胃の状態が反映されるところなので、全身の気血津液の盛衰を代表しているということが分かる。
五臓六腑の精気は腎に帰蔵する。
腎は先天の本をなし、その経脉は舌に連なるため、腎は五臓六腑の精気を現わすことになる。
舌は後天の脾胃と先天の腎に連なるため、五臓六腑の精気を表現しており、逆にいえば、その病変もまた舌に現れるということになる。