真武湯
真武湯 しんぶとう
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出典
『傷寒論』
分類
- 祛湿剤
- 袪湿和胃
- 清熱祛湿
- 利水滲湿
- 温化水湿 ← 真武湯
- 祛風勝湿
組成・方解
組成
君薬: 附子(炮去皮、一枚)
臣薬: 茯苓(9g)・生姜(9g)
佐薬: 白朮(6g)・白芍(9g)
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方解
(1)真武湯の治療対象は、脾腎陽虚による水気内停
まず五臓の生理学を考えてみると・・・
- 水の制するところは脾にあり。
- 水の主どるところは腎にあり。
水に関わる脾と腎が、ともに陽虚となると・・・
- 脾陽虚になると → 湿積にして水が生じる
- 腎陽虚になると → 聚水にして水が生じる
さらにこの状態が続くと水の不調が体のあらゆるところに現れていきます。
- 水湿聚して不化 → 肌膚に溢れて四肢沈重疼痛=水腫
- 水湿下注 → 腹瀉便溏
- 水気上衝 → 咳あるいは嘔
- 聚して下行 → 小便不利
- 清陽不昇 → 頭眩短気
- 発汗に至った後、身瞤動なるも → 汗出過多、陰随陽傷、経脉失養
そこで、治療方法は、助陽行水を採用する。
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(2)方解
- 君薬である附子は、大辛大熱で、温腎暖土。以て、陽気を助ける。
- 臣薬である茯苓は、甘淡滲利、健脾滲湿。以て、水邪を利する。
- 臣薬である生姜は、辛温で、附子の温陽祛寒を助け、茯苓と配伍して温散水気のはたらきをする。
- 佐薬である白朮は、健脾燥湿。以て、脾の運化作用を助ける。
- 佐薬である白芍は、酸斂で、以て滲利傷陰を防ぐ。また、附子の辛燥を制する。
諸薬が配伍されて、温中有散、利中有化、脾腎双補、陰水得制という作用を発揮し、脾腎陽虚によって、寒水が病的になったものに対して有効になる。
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(3)真武湯を使った後にまだ症状がある場合
- 咳がある → 加五味子、細辛、乾姜
- 小便利する → 去茯苓
- 下痢が加わる → 去芍薬、加乾姜
- 嘔がある → 去附子、加重生姜
効用
温陽利水
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主治
1.脾腎陽虚・水気内停
小便不利、四肢沈重・疼痛、腹痛不利、あるいは肢体浮腫、苔白不渇、脈沈
2.太陽病
発汗、汗出不解でいまなお発熱、心下悸(腹証の1つで、腹部動悸の1つ、心下で腹部大動脈の拍動が亢進しているもの)、頭眩、身瞤動、振振として胸に手を当てたくなる
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附方
真武湯の附方として、附子湯というものがある。
附子湯について
組成
附子(15g)・茯苓(9g)・人参(6g)・白朮(12g)・芍薬(9g)
効用
温経助陽、祛寒化湿
主治
陽虚寒湿内侵、身体骨節疼痛、悪寒肢冷、苔白滑、脈沈微
真武湯と附子湯との違い
組成は、真武湯から生姜を去り、人参を加え、附子の量を倍にして附子湯となる。
- 附子湯=温補して寒湿を去る。主となるのは、陽虚寒邪内侵の身体骨節疼痛
- 真武湯=温散して水気を去る。主となるのは、陽虚水気内停の証
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参考資料
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