炙甘草湯 しゃかんぞうとう
炙甘草湯 しゃかんぞうとう 別名:復脈湯
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出典
『傷寒論』
分類
- 補益剤
- 補気
- 補血 ← 炙甘草湯
- 気血双補
- 補陰
- 補陽
効用
- 益気滋陰
- 補血復脈
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主治
- 気虚気弱 結代脈が現れ、動悸、体羸気短、舌光色淡、少津
- 虚労肺痿 乾咳無痰あるいは喀痰不多、痰中に血絲を帯びる。形痩気短、虚煩眠差、自汗あるいは盗汗、咽乾舌燥、大便難あるいは虚熱時発。脉は虚数。
組成・方解
炙甘草湯にまつわる生理学
『傷寒論』のなかでは、炙甘草湯について「脉結代、心動悸」の証とある。 炙甘草湯が適応する証は、陽虚があるために脈気がよく通ることができずに、それがために陰虚にもなってしまい、心血を栄養することができなくなったもの。 そこで症状としては、虚労乾咳、痰中帯血、自汗盗汗、咽乾舌燥といった陰液不足のものが現れる。 心だけではなく肺も潤養を失うために、内燥が肺絡に及ぶため、陰虚生熱、内蒸迫汗外泄に至る。
組成
炙甘草(12g)、生姜(9g)、人参(6g)、生地黄(30g) 桂枝(9g)、阿膠(6g)、麦門冬(10g)、麻子仁(10g) 大棗(5~10枚)
方解
- 炙甘草・人参・大棗 益気を以て心脾を補う。
- 生地黄・麦門冬・阿膠・麻子仁 性味が甘で陰を潤滋して、養心補血、潤肺、生津する。
- 生姜・桂枝・酒 性味が辛温で通陽復脈のはたらきがある。益気滋陰の生薬と配伍することで、温しても燥すことがないようにしている。また気血を流通させて脈道通利する。
以上の生薬の配伍によって、益気復脈、滋陰補血の効能がある。 [quads id=5]
補足
炙甘草湯には、益気滋陰の作用があって、補肺する。 ただし、飲傷肺燥が比較的顕著な場合は、生姜、桂枝、酒などを減少させたり、時には用いないということもある。それは、温薬華竟によって耗灼陰液の弊害が起きてしまうからである。
附方
- 加減復脈湯
- 出典: 『温病条弁』
- 組成: 炙甘草・乾地黄・生白芍・麦門冬・阿膠・麻子仁 加減復脈湯は、炙甘草湯中の人参、桂枝、生姜、大棗、酒を抜き、芍薬を加えたものである。
- 効用: 養血・斂陰・生津・潤燥
- 主治・方解: 陽明腑実証で、実熱証がまだ除けずに、ただ陰液がなおも虧しているもので、脈が虚大、手足心熱が手足背に甚だしいもの。よって、炙甘草湯の組成から、甘辛温の品を除いて、養血斂陰作用のある芍薬を加えることで、純陰柔潤を構成している。
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