完帯湯 かんたいとう
「完帯湯」とは?
[quads id=1]
完帯湯の出典
『傅青主女科』
[quads id=5]
完帯湯の分類
- 固渋剤
- 固表止汗
- 斂肺止咳
- 渋腸固脱
- 渋精止遺
- 固崩止帯 ← 完帯湯
[quads id=1]
完帯湯の組成
- 白朮(30g)
- 山薬(30g)
- 人参(6g)
- 白芍(15g)
- 車前子(9g)
- 蒼朮(9g)
- 甘草(3g)
- 陳皮(1.5g)
- 黒芥穂(1.5g)
- 柴胡(1.8g)
※各生薬の用量は、『方剤学』(上海科学技術出版社)第45版による。
[quads id=5]
完帯湯の効用
- 補中健脾
- 化湿止帯
[quads id=1]
完帯湯の主治
脾虚肝鬱、湿濁下注
帯下色は白あるいは淡黄、清稀無臭、面色晄白、倦怠便溏、舌淡蒼白、脉緩あるいは濡弱。
[quads id=5]
完帯湯の方解
完帯湯の証の解説
帯下の病機の多くは、脾と肝が密接に関わっている。
脾は運化を主り、肝は疏泄を主どる。
脾虚不運になると、水穀之精微を化することができず、湿濁内停する。これが下注成帯となる。
さらに肝鬱して乗脾する(肝鬱乗脾)と、脾失健運となって湿濁が下注していくので、これも帯下の病機になる。
このような脾虚湿盛の病機で起きる帯下病の症状は、帯下の色が白あるいは淡黄で、清稀無臭。面色晄白、倦怠便溏、舌淡苔白、脉は緩濡弱になる。
故に、治療は益気舒肝、化湿止帯の方法を取る。
方解
君薬は、人参、白朮、山薬になり、総じて補気健脾をする。白朮は燥湿、山薬は渋精ができるので、健脾止帯のはたらきをする。
蒼朮、陳皮は臣薬として燥湿運脾、芳香行気のはたらきをする。そして君薬を補い、不帯、また気行自去の意味もある。
さらに車前子も臣薬で、痰湿利湿で、水湿を小便から出す。
君薬と臣薬は、君臣相配となって止帯し、湿を滞らせないように利湿もし、正気を傷つけないようにしている。
佐薬は白朮、柴胡、黒芥穂であるが、白朮は舒肝扶脾、柴胡は昇陽で、湿気が下流入裏しないようにし、黒芥穂は血分に入って祛風勝湿して止帯する。
甘草は調薬和中で使薬になる。
以上諸薬が配合されることで、補散併用となって、気旺脾健にして陽昇湿化する。その結果、帯下は自ずから止まる。よって、完帯湯は脾虚帯下の常用方剤になる。
[quads id=4]
附方
易黄湯
『傅青主女科』
山薬(30g)、芡実(30g)、黄柏(6g)、車前子(3g)、白果(10枚)
効用: 健脾燥湿、清熱止帯
主治: 脾虚湿熱、帯下黄白、稠粘腥臭、腰痠腿軟
清帯湯
『医学折衷参西録』
生山薬(30g)、生竜骨(18g)、生牡蛎(18g)、海螵蛸(12g)、茜草(9g)
効用: 健脾止帯
主治: 脾虚帯下赤白、清稀量多、連綿として絶えない、腰痠体乏、舌淡苔白、脉細緩にして沈
完帯湯、易黄湯、清帯湯の比較
完帯湯、易黄湯、清帯湯の三方は、どれも脾虚帯下をして湿熱を有するものを対象にしているが、以下のような違いがある。
完帯湯は脾虚帯下にして肝鬱を兼ねたもので、補気健脾に重きが置かれており、それによって舒肝止帯も兼ねている。
易黄湯は、脾虚帯下にして湿熱を有したものを治療するもの。健脾止帯とともに、清湿熱も兼ねている。
清帯湯は、脾虚帯下赤白にして清稀量多の症状が対象になる。そのため、健脾止帯の中でも和営も兼ねている。
[quads id=1]
参考資料
[quads id=5]
本サイトご利用に当たってのご注意
一般の方へのご注意
本サイトは、一般の方が自己判断・自己診断をするためのものではありません。あくまで漢方薬の辞書的な記述に留めております。よって、この情報を元にして自己判断・自己診断して処方をしないで下さい。同時に、この情報を元に安易に他人にアドバイスをしたり、安易なシェアをするようなことはなさらないようにしてください。症状がある場合は自己判断せずに、適切な医療機関で受診して下さい。
専門家の方へのご注意
本サイトは、東洋医学・中医学・鍼灸などを学ぶ人が、その学習の助けになるようにと制作しているものです。それ故に、本サイトの内容は細心の注意を払って正しい内容を書くように努めております。しかしながら、不十分な点もまだまだあると思いますので、その場合はご意見・ご指導などを賜りたいと思います。コメント欄にご一報下さい。