『ゆるい生活』 群ようこ著
『ゆるい生活』
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『ゆるい生活』のレビュー
著者の群ようこさんは、エッセイスト。
軽妙洒脱な等身大の文章が人気です。
そんな群さんが女性のお年頃(更年期)を迎え、めまいという体の変調を感じるようになる。
その変化をつぶさに観察しながら、これは東洋医学だろうということで、リンパマッサージもメニューについてくる漢方薬局へ通うようになる・・・。
今までは好きなことを好きなようにやる、食べたいものを食べたいだけ食べる、そんな連続で毎日を普通に過ごして来られたのに、ある日からそれが叶わなくなる・・・。
これが更年期か、聞いてはいたけど、こんなに突然、そして漏れなくやってくるのか・・・。
更年期になると、自分が女性でなくなることへの精神的なショックがあります。
そして実際にホルモンのバランスも変りますから、体の変化も如実に感じるようになります。
心身ともにバランスを崩し、たいへん落ち込みます。
軽快な群さんにおいてもそれは同じようにやってきます。
この『ゆるい生活』でそれを色濃く意識している感じはないのですが、でも、そこかしこにそのショックが現れていて、それを笑いで包むようなところが群さんならではなのでしょう。
しかし、東洋医学を専門にしているものからすると、決して笑えないのであります。
体が変化する、心も変化する、その急激な変化についていけない姿は、救ってあげなくてはいけない状態なのであります。
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本書の中では、漢方薬を飲むシーンがあります。
あんまりおいしくない様子。
そして、リンパマッサージを受けるシーンもあります。
それもあんまり気持ちいいとはいえない模様。
でも、そんな施術を受けていく中で、自分の体の変化へ少しずつ気づいていく著者。
半ば諦めという受け入れをし、徐々に徐々に、先生の助言を真摯に受け止め実行へ。
このような施術の過程で起きる患者さんの心の変化は、東洋医学のいいところではないかと思います。それが本全体から出ているのは、とても東洋医学らしさが現れているのではないでしょうか。
しかし不満もある・・・
正直、施術のシーンはいつも一緒・・・。
使う漢方薬もほぼ一緒・・・。
鍼灸や漢方薬を専門にしているものからしたら、どこか物足りない。
そして、トータルで6年通って成果が乏しい・・・。
ほんとにこれでいいのか?
もっと結果を早く出せる先生はいっぱいいるはずなんだけど。
ここは専門家からするととても不満というのか、もどかしいというのか、いやまてよ、物語をおもしろくするためにあえてここはフィクションにしたのか?とまで勘ぐりたくなるくらいです。
東洋医学では、しっかりと体の情報を集めて、証という治療方針を出します。
それに沿って方剤(漢方薬)を決め、鍼灸であれば的確なツボの選択をしていけば、即効性があるものもありますし、毎回の施術で効果を積み重ねることができます。
『ゆるい生活』では、施術・漢方薬のひとつの区切りが6年もかかったようですが、実際にはそこまでかかりません。簡単なめまいであれば、週1で2~3ヶ月で治ることが多いでしょう。
『ゆるい生活』の読者の中には、群ようこさんが通っている漢方薬局がどこにあるのか必死で検索しているようです。でも、正直なところ、そこまでするほどの腕ではないと思われますし、この程度であればけっこうどこにでもいるものです。
そこで、自分が通える範囲のところで先ずは探してみることをお薦めします。
また、周りの友達や知人に聞いてみると、案外鍼灸院に通っている人や、漢方薬を飲んでいるという人もいると思います。
まずは漢方薬の薬局・薬店や、鍼灸院などを訪ねてみて、自分に合っているかどうか体で感じてみることをお薦めいたします。
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