• 著者 川口澄子
  • 発行 ピエブックス
  •  お薦め度 ☆☆☆☆
  • 東洋医学・鍼灸医学を学ぶ者にとって、季節の巡りと身体の変化を知っておくことはとても大切です。また、季節の移り変わりと、季節毎の習慣を知ると、様々な生活の意味が見出されてくるように思います。ほのぼのと読みながら、暦の基礎を知ることができるお薦めの一冊です。

[quads id=1]

『東洋見聞録 医の巻』でもお馴染みの川口澄子さんのエッセイ集。『東洋見聞録 医の巻』よりも、内容はよりエッセイ的になっていますので、勉強のために読むというよりは、楽しみながらのんびりと旧暦に親しむといった感じで読んでみたらいかがでしょうか。版画のような絵と、思わずくすっと笑ってしまう内容で、文章同様に軽妙にページをめくることができます。

[quads id=3]

 

東洋医学・鍼灸と暦はとてもつながりが深いものです。
東洋医学・鍼灸医学には、天地人という思想があります。これは、天と地の影響を受けて万物は生じているという考え方で、万物の霊長である人間もまたこの天と地によって生かされている存在です。天と地の動きはまさに暦によって表現されています。そこで東洋医学・鍼灸医学を実践する者としては、この季節の巡りに影響を受ける身体の変化を捉えていかなくてはいけません。その助けとなるのが暦です。暦を参考にして身体を診ていきますと、その微妙な変化を察知することも可能となります。『黄帝内経・素問』の後半部に運気論というものがありますが、これは天の動きと身体の変化を詳細に観察してきた実証的歴史の積み重ねで、天気と身体は共に影響を受け合いながら変化をしていくことを示したものです。

[quads id=4]

 

東洋医学・鍼灸医学を学び、実践する者としては、小寒、啓蟄、処暑など、二十四節気の名称と季節の移り変わりを頭の中に入れておく必要があります。本書では、二十四節気の名称の意味やその時期、風物詩などが挙げてあり、旧暦の季節感を伝えております。文章も軽妙で、イラストもノスタルジィなところもあり、とても親しみの沸く本です。勉強の合間の骨休め、患者様との会話のネタなどにも一冊置いておくと役立つと思われます。