効果がある漢方薬を販売しているイスクラ産業。
 そのイスクラ産業に所属している中医師である鄒大同先生の著書です。鄒先生は漢方薬と腫瘍との関係を臨床で多数経験してきた先生です。そのため、先生の治験は一聴に値するものになっています。

  • 著者 新村勝資・土屋憲明
  • 発行 医道の日本社
  • お薦め度 ☆☆☆☆
    これから古医書の原文(書き下し分ではなく、白文)の読解にチャレンジしようと思っている方にお薦めの本です。古医書の読み方を学びながら、東洋医学・鍼灸の知識を吸収することができる一冊です。

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鍼灸学校に入りたての頃、東洋医学・鍼灸を学ぶなら、やはり漢文を読まなくてはいけないだろうと思っていました。しかし実際の授業では、現代医学が中心で、古典を読む機会は全くといっていいほどありませんでした。東洋医学概論も、国家試験のための暗記科目で、あまり臨床に活かすための授業になっているとは思いませんでした。こんなことから、東洋医学・鍼灸を学びに来ていながらも、古典的な素養を何も得ることなく鍼灸師になる方も少なくありません。

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現在は、大きく現代鍼と古典鍼に分かれますが、現代鍼に向かう方には古典は必要ないのかもしれませんが、古典鍼に進む方にとっては、必須です(と思っています)。しかし実際のところ、古典鍼に進んでいる方でも、実際に古医書を原文で読む先生は少ないように思います。学生時代、先輩方がどのような勉強をしているのか、古典鍼をしている先生を訪れたときに、「先生は原文で読まないんですか?」と聞くと、「難しいから読まないよ(笑)」と言って、一笑に付されたことがあり、大変がっかりしたことがあります。

しかしそれもそのはずです、どうやって勉強したらいいのかわからないのですから・・・。

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『黄帝内経(こうていだいけい)』は、東洋医学・鍼灸医学の原典として脈々と受け継がれてきた歴史があり、さらにそこを元にして構築された経絡治療・本治法を学ぶためには、原典に直接触れる必要があると、私は思います。“難しい”からと最初から諦めるのではなく、原典を学ぶ訓練もちゃんとしておくことは大切だと思います。

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そこでこの『古典に学ぶ鍼灸入門』は、原典で読みたいけどまだ早いという段階の人におすすめです。受験時代に漢文を勉強したものの、やはり鍼灸の原典を読むには、その“くせ”を知っておく必要があると思います。鑑賞や技巧を中心にした漢詩などと比べますと、古医書は医学という事実を扱った実用書ですので、難しい修辞法などはあまりないと思います。しかし、事実を扱ったものであるからこそ、意味を取り違えると大変なことにもなります。そういったことからも、これから『黄帝内経』などを原文で当ろうと思う方は、漢文の基礎をおさらいしておく必要があると思います。この本は実際の原文を抜粋しながら、返り点、読み下し分などを丁寧に解説してありますので、東洋医学・鍼灸のことを学びながら、漢文も学べるという一石二鳥の本であります。字の大きさや版の大きさなどもちょうど良く、初歩の方が原文に触れるためには好著であります。この本で漢文の読み方をおさらいしましたら、次はいよいよ原文(漢文)に当ることをおすすめいたします。

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