• 著者 首藤傳明
  • 発行 医道の日本社
  • お薦め度 ☆☆☆☆☆
  • 現在の日本の経絡治療の第一人者である首藤傳明先生の初期の作品です。脈診の基礎、経絡治療の基礎を伝える好著です。

 

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『経絡治療のすすめ』の著者である首藤傳明先生は、現在(2008年現在)、伝統鍼灸学会の会長をしております。首藤先生は、超旋刺という独特な技法を臨床経験から編み出し、多くの講演会や、医道の日本誌などでも発表をしておりますが、意外にも、まとまった記述として本になっているのは少なく、この『経絡治療のすすめ』と2009年7月に発売された『超旋刺と臨床のツボ』 首藤傳明著 医道の日本社くらいではないでしょうか。それは、首藤先生が臨床家として毎日鍼灸治療に従事している証のようにも思います。

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首藤先生は、現在でこそ経絡治療の第一人者の一人として鍼灸師の目標となっていますが、先生の臨床のスタートは、澤田流太極療法を中心にしたものだったそうです。しかしあるときの経絡治療学会の夏期研修に参加してからは、古医書に根ざした経絡治療に目覚め、その習得へ邁進し、現在もその追究に余念がありません。
長年慣れ親しんだ自分なりの体系をかなぐり捨てて、経絡治療の勉強を始めることは、治療家としては勇気のいることだと思います。しかし、今まで自分がしてきたことを捨てるに足る魅力と効果が、古典的な治療にあることを感じていたのだと思います。本書『経絡治療のすすめ』は、そんな首藤先生が苦労を重ね、試行錯誤をしていたころの作品です。この本が世に出てから25年以上が経ち、首藤先生自身の臨床的気づきや、古典の解読からみたら、だいぶ古い内容になっていると思います。しかし、この本の重要性は、どのような実践的練習を積んできたのか、どういったことに着眼点を置いて勉強してきたのか、そういった古典を学ぶ者にとって、最初に知っておきたい基礎的な勉強方法、古典への姿勢というものが記されており、今でも十分読む価値のある内容になっています。脈診、病因病証、五行の関係など、古典治療を習得してためには避けて通れないものを分かりやすく解き、初歩的な理解を助けてくれます。

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この本は、経絡治療や脈診の概要から始まり、脈診の位置、取穴の仕方などを、初心者に向けて平易な文章で書いてあり、まさに“すすめ”的な内容になっています。日本伝統鍼灸学会の会長であっても、初歩的な時代があり、そこからの積み重ねをして今日の首藤先生があるだと思います。伝統的な治療を学びたい鍼灸師の方へ、とてもお奨めな一冊です。経絡治療の入門から、中級くらいまでをカバーする内容であると思います。

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