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  • 著者 小西行郞
  • 発行 集英社新書
  • 本書は、脳科学、発達行動学を専門にする小児科医が見た、現代の子育て事情の是非について著したもの。科学的なお話を含みながら、胎教、早期教育、テレビの功罪などについてやさしく説いてくれます。

小児鍼をしていますと、特に都会の赤ちゃんは、お母さんと二人きりの世界になりがちであることを痛感します。地方から出てきて都会に住まうご夫婦、特にお母さんは、赤ちゃんのためにとてもたいへんな思いをして毎日を過ごしています。政治や制度の問題も当然ありますが、地域や近所といったネットワークが育っていないという一般レベルでの気遣いも希薄であることもまた、お母さんと赤ちゃんが孤立してしまう原因になっていると臨床で痛感しています。そういった現代社会の事情の中で、社会の宝である赤ちゃんを大切にしていくことは重要な課題になっていきますが、地域に生きる臨床鍼灸師の役目を考えるべきではないでしょうか。それぞれの地域医療を補完する位置にある(あるべき、そうなるように務めるべき)鍼灸師は、小児鍼をやっているならば、子育ての知識も持ち合わせ、お母さんの相談にのって、アドバイスができるようにしておくことは、大切な義務の一つになると思います。

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本書は、脳科学、発達行動学を専門にする小児科の先生によって書かれたものですので、胎教、早期教育、テレビなど、かつてはなかった赤ちゃんの環境がいったいどのように影響を与えているかということを、科学的裏づけによって、安心して理解することができます。小児鍼をしていますと、親御さんからいろいろな相談を受けますが、東洋医学的な説明だけではなく、本書のような現代医学的な知識も大切になります。著者は、実際に多い親御さんの相談を受けている方なので、本書のアドバイスも具体的なものが多く、臨床鍼灸師にとってもとても役立つ一冊になっています。

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