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  • 著者 野口三千三
  • 発行 春秋社
  • お薦め度 ☆☆☆☆☆
    患者様の症状に耳を傾ける姿勢。自分の身体の声を聞く。野口氏が提唱する、身体に聴いていくということは、自分の鍼灸治療を組み立てていく時の、根本的な姿勢ををつくってくれると思います。

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「かつて“野口三千三”という名の名物教授が、東京藝術大学にいた。」、という。それほどまでに東京藝術大学の生徒を魅了し、大きな影響を与えてきたという、今や伝説となっている人物です。
野口三千三氏の思想の根本は、「自然に学ぶこと」、「からだに貞くこと」、「語源を辿ること」などにあります。つまりそれは、“自分に問いかける”と言う素直な姿勢から発するものです。自然な状態にした自分、力を抜いた自分に問いかけ、そこから発せられる実感を紡ぎだし、そしてその感覚を言葉に表現する・・・そしてその感覚を再び自分の身体に問いかける・・・その繰り返しによって野口三千三氏は、身体を、自然を、そして自分を発見していたのだろうと思います。

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この野口三千三氏の探求は、東洋医学の発声と歴史にも通じるものではないかと思います。東洋医学・鍼灸医学は、患者様の身体が発する表現に耳を傾けます。野口三千三氏の著書のタイトルにあるように、それはまさに「からだに貞く」こ行為で、そこから治療の糸口を見つけていくことが、東洋医学の出発点です。野口氏の文章からは、人を見つめるやさしさ、しなやかさを感じます。そしてそこには、自然に耳を傾けるという現代の医療が忘れてしまったものを感じます。

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本書は、東洋医学・鍼灸医学の臨床に直接関係する本ではありませんが、この本から受ける多くの示唆は、患者様の身体の声を聴くための大きなヒントになり、また、古医書などの記述の行間を読むためにも、大切な感性が含まれていると思います。自分の身体の声を聞き、そして患者様の身体や症状にも耳を傾ける、そんな姿勢を野根本を思い出させてくれる野口三千三氏の著書は、どれも一読しておきたいものです。

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