『発酵食品礼賛』小泉武夫著 発酵を知りたい方への入門書

  • 著者 小泉武夫
  • 発行 文春新書
  • お薦め度 ☆☆☆☆
  • 日本には漬物をはじめ、納豆、鰹節など様々な発酵食品が日常生活に定着しています。日本だけではなく、世界各国に存在する発酵食品を集め、それらが秘めている大いなる力を知ることができる本です。

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 本書の著者は、テレビや雑誌などでもお馴染みの農学者、発酵学者の小泉武夫氏。小泉武夫氏は、専門の発酵関連の食品だけではなく、食全般に対する造詣が深い方です。

 発酵食品は、においや風味などに独特なものが多く、ものによっては好き嫌いも多いかもしれません。しかし発酵食品は、地域や文化、環境による制限から産まれてきたものが多く、そこには、それまで生きてきた人々の生活の知恵が詰まっています。そしてその知恵の宝庫は、栄養面から見ても優秀なものばかりで、まさに至れり尽くせり。

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 本書では、まず発酵食品が持っている保存、滋養、風味、人に有効な微生物という4つの魅力を紹介した後に、鰹節、納豆、漬物など、お馴染みの発酵食品を含めた15種類の食品を丹念に紹介しています。さらに、世界各地の伝統的発酵食品や、幻の民族酒などを掲載しています。

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 発酵食品は、腸内細菌を育てるかっこうの食べ物です。腸内細菌は小腸から大腸にかけて存在するもので、人間の味方になる菌であれば、お互いに恩恵を分けあっている関係です。微妙なバランスによって成り立つ腸内環境ですが、発酵食品を摂ることは、腸内環境を改善することにつながります。東洋医学的に考えれば、小腸は受盛の官と呼び、栄養を摂るための器官です。そして大腸は伝導の腑と呼び、水分の再吸収と大便を作る排泄機能として重要な役割を担っています。この両者を助ける発酵食品を摂るためにも、その効用を知っておくことはとても有効です。患者さんへのアドバイスのためにも一読しておくことをおすすめいたします

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