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東洋医学は、広義では地理的に東洋に含まれるインド、中国などのアジア圏の伝統医療全般を指しますが、狭義では中国発祥の伝統医学ことを指します。
この教義の東洋医学(中国発祥の伝統医学)は、4000年前の古代から現代に至るまで利用されており、今なおその効果は色褪せることなく、歴史と伝統、そして中国哲学を内包した実証的医学という特徴があります。
本書は、この今日まで続いている中国伝統医療の歴史を網羅したものです。東洋医学の原点を、はるか昔の古代中国に遡り、そこから近現代の歴史までを捉えている、いわば中国医学(狭義の東洋医学)の百科事典のようなものです。
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東洋医学の起源をどこに持ってくるかということには様々な定義があるかと思いますが、鍼灸で言えば、動物の骨を使用して行っていた形跡もあり、文字が発明される以前からその萌芽はあったようです。文字が発明されてからは、まず、卜占に使用された甲骨文字の中に、病気に関して神事を求めたものがあるようで、これは人類が病気というものに意識をもって積極的に対峙しようとした初めての記述の一つに挙げられます。このときはまだ医療というよりは、占いやまじないの類の面が色濃かったようですが、その後に陰陽五行などの東洋思想や東洋哲学を応用しながら、経絡・経穴の発見などもあいまって、徐々に体系が形作られて、東洋医学の原典となる『黄帝内経』の確立へつながっていきました。『黄帝内経』が原典として確立してからは、各時代の名医達が繰り返し研鑽を重ね、『黄帝内経』をベースにしながら発展を続けてきました。中国医学には、主に鍼灸と湯液(漢方薬)の2方面があります。湯液は生薬の数も多く、薬方も数多く発明されてきたために、宋以降は鍼灸よりもメインになっていったようなところがあります。
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古医書を読む上で、その古医書が書かれた時代背景や、人物について知っておくことも大切な要素となります。ある古医書がどういった考えで書かれた本なのかを理解して読みますと、その古医書の伝えんとする趣旨もまた伝わることがあります。この本は、中国医学の百科事典と言える内容で、人物や古医書の書名、そして時代背景なども細かに書かれおり、索引もしっかりしているので使いやすいです。
『漢方の歴史-中国・日本の伝統医学』は一般の方にも読みやすいボリュームですが、こちらの『中国医学の歴史』は膨大な資料ですので、主に専門家にとって重宝する一冊になると思います。