• 著者 本間祥白
  • 発行 医道の日本社
  • お薦め度 ☆☆☆☆☆
  • 昭和初期に、古典的な鍼灸を求めて集まった経絡治療のグループの一人であった本間祥白先生渾身の作品。『難経本義』など、これまでの『難経』の注釈本に並ぶ歴史的な一冊といっても過言ではありません。経絡治療を学ぶ方には必読です。

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『難経』がいつ成立したかというのは諸説あります。また著者については、秦越人(しんえつじん)=扁鵲(へんじゃく)ということになっていますが、これも諸説あります。諸説ありますが、『黄帝内経』と同様の内容を多く含むので、『黄帝内経』成立後に書かれたというのが定説で、こと『難経』は治療法についての言及が多いため、いわば『黄帝内経』の治療に関する部分をまとめたダイジェスト版とも言われることがあります。現代でもダイジェスト版にはよくありがちですが、どうしてもポイントを押さるだけの記述が多くなるため、『難経』は文章がとても簡潔で、細かい言及が為されていないところも多くあるため、行間を読み込む力が必要で、これまで多くのいかがその解釈に当たってまいりましたまた、『黄帝内経』のダイジェスト版と言われながら、「命門(めいもん)」についての記述や、「奇経八脉(きけいはちみゃく)」についての解説は、『黄帝内経』よりも一歩進んだ解釈がなされていたりもします。

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以上のように、東洋医学・鍼灸医学を学ぶものにとって『難経』は重要な一冊で、古典的な治療をする者にとっては避けて通れないところがあります。本書は、日本の経絡治療の礎を築いた本間祥白先生が著わしたものです。本間祥白先生らしい緻密で丁寧な解説が多く、図なども使って分かりやすく説明されています。本間祥白先生は、比較的若くしてお亡くなりになりましたが、本書はその本間先生の遺作でもあります。『難経』の「七十五難」の解説などは、本間先生の苦心が見受けられその情熱を感じます。本書はそういった経絡治療へ書けた先生の思いも含めて、古典的、伝統的な鍼灸治療を目指す方にとっては必ず読んでほしいものです。

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